2018年1月19日金曜日

【回転窓】現代版「背中を見て学ぶ」

陸上や水泳、スケートのような100分の1、1000分の1秒を争う世界では、体をいかに無駄なく動かすかが記録を左右する。記録保持者と同じ動きができればおのずと記録は伸びる▼記録保持者の動きを映像で分析してまねる。現代のアスリートは、そうした科学的トレーニングを積んだ結果、フォームがしっかりしており、大きなスランプに陥ることも少ないと聞いた▼アスリートほど精緻ではなくても、職人の世界で一流と呼ばれる人たちと同じように動くことができれば、技能を高めることができよう。憧れの職人の技を徹底的にまねることは、技能習得の近道ともいえる▼スマートフォンやタブレット端末などが普及した今は、映像を手軽に撮ったり見たりすることができる。一流の職人の技を収めた動画を技能習得に役立てようという活動を先日取材した▼国土交通省も、生産性向上の一環としてそうした活動を後押ししようと、職人の基礎的な技能を撮影した映像コンテンツを制作するなどの支援に乗りだした。「親方の背中を見て学べ」というかつての教育手法を現代版に置き換えた取り組みに期待しよう。

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