2018年4月20日金曜日

【働き方改革へ労使協働の取り組み不可欠】日建協17年時短アンケート、所定外労働は8時間減少

日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、久保田俊平議長)は19日、「2017時短アンケート」の結果をまとめた冊子を発行した。

 加盟組合員の調査に基づく労働環境の実態をまとめており、所定外労働時間の削減に休日の取得が貢献していたり、所定外労働時間が減る中でも魅力を感じる現場勤務者(外勤者)の割合が改善していなかったりする現状を報告している。発注機関や経営者との意見交換などに活用する。

 主な結果を見ると、外勤者のうち技術職は1カ月の平均所定外労働時間が建築系は64・4時間、土木系は64・8時間で、ともに前年から約8時間減少した。理由には取得できた休日が増え、休日の所定外労働時間が減少したことを挙げた。「どうすれば土休が取得できるか」という質問に対しては、内勤者、外勤者とも回答は▽人員配置▽法的・社会的な土曜日の工事規制▽発注者の理解-の順に多い。1カ月に行っている所定外労働の時間にかかわらず、建設産業全体の労働時間を短縮するには「発注者による適正工期の設定」という回答が最多だった。

建設産業に「魅力を感じる」割合は、全体と内勤者がそれぞれ61・6%(60・0%)、65・7%(62・4%)に上昇したが、外勤者は前年と同じ58・3%だった。外勤者が「魅力を感じない」理由のトップは前年と同じ「労働時間が長い」で、2番目はサービス残業が当たり前といった「前近代的体質」、3番目は「請負体質」だった。

 外勤者は労働時間が減っていたことが分かったものの、魅力を感じる人の割合が増えていない。理由の分析はできていないが、回答者からは「申告できる残業時間が減り、サービス残業が増えるという減少が起きている」(20歳代)、「(出退勤管理の)ログの付かないパソコンを現場に置いていたり、パソコンを開かずに休日出勤している人も多い」(40歳代)といった意見が多数寄せられた。日建協は「不満に寄り添っていくことが重要」と指摘し、組合員の主体的な取り組みと共に、労使協働の対応を促すことの必要性を強調している。

 「自分の子供を建設産業に就職させたいか」という質問の回答は、「ぜひ就職させたい・できれば就職させたい」の合計が9・7%(9・5%)にわずかながら改善した。長時間労働を是正する取り組みが進展する中で懸念することには、「業務の粗雑化」を挙げる人が多い。土曜閉所の回数が多い職場の組合員ほど「残業手当、賃金の減少」を懸念する傾向にあった。日建協は「強引な時短」が組合員の嫌気、離職につながると見ており、働き手が納得した取り組みを引き続き促す構えだ。

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