2017年9月21日木曜日

【関内・関外地区(横浜市)をスポーツタウンに】三菱総研が構想実現の調査報告書取りまとめ

三菱総合研究所が横浜スタジアム(横浜市中区)を核とした「スポーツタウン構想」の実現に向けた調査報告書をまとめた。

 DeNAグループが計画している同スタジアムの増築・改修事業に連動し、関内・関外地区にスポーツを足掛かりにした①クリエイティビティ②ホスピタリティ③マネジメント-の3機能を導入するプロジェクトなどを実施。「スポーツタウンとしてのブランドを構築し、新事業の創出による経済効果を生み出す」としている。
横浜スタジアム増築・改修の完成イメージ
(ⓒ 清水建設)
同スタジアムの周辺地区で計画するプロジェクトは、DeNAグループが主導する「横浜スタジアム増築・改修」と「旧関東財務局事務所活用(THE BAYS)事業」、行政機関が担う「横浜公園活用事業」と「市役所跡地活用事業、周辺民間開発事業」を連動させる。プロ野球・横浜DeNAベイスターズのブランドやコンテンツを有効活用するほか、DeNAや横浜スタジアムが持つスポーツ・イベントビジネスのノウハウを生かし、関内・関外地区への来訪者を増やしながら、観光消費などの経済効果と地域ブランドの確立を目指す。
横浜文化体育館再整備・メインアリーナの完成イメージ
関内・関外地区では横浜文化体育館再整備事業や大通り公園活用事業といったハードプロジェクトのほか、横浜中華街など既存地域資源との連携、歩行者動線の連続化といったソフト面での取り組みの検討を促す。さらに隣接する横浜港は山下ふ頭地区でのリゾート開発計画が進行中。MM21中央地区はパシフィコ横浜でのイベント・国際会議などの開催、横浜マラソンの実施といった実績があり、こうした事業・取り組みとの連携も図っていく。

 三菱総研はスポーツタウン構想の関連事業として、同地区周辺で検討・計画中のプロジェクトのうち、市役所跡地活用・周辺民間開発事業をピックアップし、スポーツコンプレックスの開発事業が可能かどうかケーススタディを実施した。スポーツ関連のテナントやライフスタイル型・高単価型ホテルが入る延べ1万3000㎡の複合施設を建設した場合、施設建設の初期投資、スポーツ観戦や飲食、観光などの経済効果に加え、関内・関外地区に年間58・2万人の来訪者増が見込めると試算。複合施設の完成後2年目から事業の経常収支は黒字転換できると見ている。

 JR関内駅もスポーツタウン実現でキーポイントになると指摘。都心部回遊軸・交通結節点としての機能強化を図りながら、横浜スタジアム、横浜文化体育館、周辺民間街区との連続性を高めることで、地域価値の向上につながるとしている。

スポーツタウン構想による経済面の定量的効果は、構想実現による地価上昇で863億円(関内地区)、横浜スタジアムの観客増で年間8億円(27万人)、イベント開催で年間51億円(147万人)、新規商業施設の整備・運営で年間42億円(145万人)、横浜文化体育館再整備で年間13億円(41万人)などと試算する。

 かつては業務や商業が中心だった関内・関外地区の役割をスポーツ・観光に転換することで、横浜の経済活動に大きく貢献できると結論づけている。

 この調査は経済産業省の16年度「観光資源等を活用した地域高度化計画の策定等支援事業(魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくりに関する計画策定等事業)」として実施した。

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