2017年12月27日水曜日

【回転窓】来年は言動一致の年に

普段使っている話し言葉で書かれた文章を「言文一致体」と教わったのは30年以上前の中学生の頃。最初の言文一致小説は二葉亭四迷の『浮雲』と習ったと記憶している▼ところが最近は、明治期に活躍した落語家三遊亭円朝の寄席での口演を収録した速記本が最初とする見方がある。歴史の教科書に載っていた足利尊氏や武田信玄の肖像画が実は別の人物との研究もあり、教科書の内容を見直す動きが出ている▼常識とされてきた事象も疑ってかかる必要があると改めて認識させられる話だが、こちらの問題はちょっといただけない。日本を代表する有名企業の製品や素材を巡ってデータ改ざんが相次ぎ発覚。「品質は確か」という日本製品に対する常識が疑わしくなっている▼世界で戦う日本企業は、中国や韓国などの企業に価格競争では太刀打ちできない。高品質の製品やサービスで勝ち残りを目指すしかない。落語家の五代目柳家小さんは弟子に「心邪(よこしま)なる者は噺(はなし)家になるな」と説いたそうだ。企業や技術者もそういう心持ちであってほしい▼安全・安心、高品質。日本企業も来年こそは言動一致の年にしてもらいたい。

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